Telecom FreeTalk

どうする電話加入権?  No.87
 物欲ばっかり発揮してないで、たまには「Telecom」らしい話。

 先日から報じられているように、いよいよNTTが来年1月から電話加入権料を半額にして、将来的には廃止を検討中。要は、新たに電話回線を敷設するときに必要な「施設設置負担金」(7万2000円)ってのがいらなくなるわけです。ちなみに、この施設設置負担金は、NTTに払い込んだから最後。二度と戻ってきません。いらなくなったら、電話加入権業者に売るくらいしか道がないのです。

 「安くなるんだから、それでいいじゃん」って思うのはちと早計。なぜなら、電話加入権はひとつの資産と扱われてきた経緯があるからですね。企業なんかでは資産として計上しているところもあるし、借金が返済できなくて、「電話を差し押さえ」なんて話もある。ちなみに、差し押さえられた電話加入権は競売に掛けられて、業者が引き取っていくわけです。

 ところが、こいつの価値をいきなり半額にして、いずれはゼロにしちゃおうってんだから、そりゃもめます。電話加入権の売買をしている人にとっちゃ死活問題だし、多くの回線を利用している企業や複数回線を利用している人は当然、反発したくなる。ちなみに、ボクも3回線、持ってたりして……(笑)。かと言って、すでに電話加入権を持っている人に対し、NTTがお金を返すってことは今のところ考えられていない。

 しかもこの話を厄介にさせているのがお役所の対応ぶり。あるところでは「資産です」って言ってたかと思えば、別のところでは「資産じゃない」ってコメントしてたりして、国としての姿勢がバラバラ。まあ、そんなこともあって、今後の成り行きがとっても注目されるわけです。

 なんで今になって、廃止をしようって話になったかと言えば、KDDI日本テレコム(ソフトバンク)が格安の固定電話サービスを提供しようとしているから。こっちは当然、施設設置負担金なんて不要。NTTにとっては、まさに「前門の虎、後門の狼」みたいな状況なわけです。

 しかしまあ、考えてみれば、民営化や分割のときに何か手を打っておけば、多少は救われたのに、何もしないまま、今まで来ちゃったのがイタい。みんなで「ふざけんな、金返せ!!」って騒ぐのも手だけど、あとでどっかの国有鉄道みたいに「じゃあ、みんなの税金で赤字を埋めましょうか」って話になるのもねぇ。多少はキツくても加入権を持っている人は少し基本料金を安くするとか、ここで工夫をしておかないと、あとでもっと厄介なことになりそう。
2004/10/26



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