Telecom FreeTalk 2001年11月版


2001年11月30日 あのケータイ、ホントに買ってるの?


2001年11月30日

あのケータイ、ホントに買ってるの?

 先日、久しぶりに会った知人がケータイWatchを読んでくれているというので、いろいろと話を聞いてみました。そのとき、ケータイWatchを読んでるけど、ホントに自前で機種変更してるの?」という質問を受けました。また、ある編集者に「法林さん、掲示板に『毎回のように、機種変更したって書いてるけど、ホントか?』なんて書かれてましたよ」という話を聞きました。FAQみたいな気もするんですが、一応、真実を書いておきましょうか。

 記事を掲載する媒体によって違うのですが、ケータイWatchの場合、いろいろな事情があって、ほとんどの端末は自分で購入し、記事を書いています。レビューの冒頭を読んでいただければわかりますが、「筆者も機種変更で端末を購入したので……」と書いてあれば、本当に購入していますし、「端末を入手できたので……」と書いてあれば、編集部が購入した端末を借りたり、事業者やメーカーの貸出端末をお借りして、記事を書いていることになります。

 自分で購入する場合、1回線ではやり繰りが間に合わないこともあるので、事業者によっては複数の回線を契約し、新製品が出る度に機種変更をしています。間違っても「新規契約で安く購入して、いらなくなったら解約」なんてことはしません。いつか契約できなくなってしまうかもしれませんからね。

 しかし、多くの人は「そんなに機種変更して大丈夫なの?」という疑問を持つはずです。事業者によって異なりますが、ほとんどの携帯電話事業者は短期間で機種変更をする場合、ほぼ定価で近い価格で買わなければなりません。たとえば、NTTドコモの503シリーズであれば、3〜4万円はするでしょうし、販売店によっては「短期間の機種変更を受け付けない」というところもあります。ボクの場合、幸いにも機種変更を受け付けてくれるショップ(いずれも事業者系の販売店)を知っているので、記事執筆のために毎回、ほぼ定価に近い代金を支払って、機種変更をしているのが実状です。

 「でも、それじゃ、割に合わないじゃないですか」と考える人もいるでしょう。確かに、端末レビューを1本、書くだけじゃ、全然割に合いません。ほぼ間違いなく、いや確実に赤字でしょう。でも、読者のみなさんはレビューに期待してくれているわけですし、記事を書くための端末が借りられない以上、買わざるを得ないわけです。それに、自分で買って、一定期間使えば、端末ごとの違いや良し悪しといったものが『知識』として蓄えられます。つまり、長い目で見た場合、端末のレビューを書いた原稿料以外の価値が得られる可能性があるわけです。それを見越して、「先行投資」と考えて、ほぼ定価に近い価格で購入しているわけです。

 また、もうひとつの側面として、厳しい内容のレビューを書かざるを得ないとき、メーカーや事業者から端末を借りにくいことが挙げられます。借りた端末だから、レビューに手心を加えるといったことは決してありませんが、厳しい評価の記事が掲載されれば、メーカーや事業者は「せっかく貸したのに、何だ、この内容は!」と考えてしまいます。メーカーや事業者に属するすべての人がそう考えるわけではないでしょうが、一部にそう考える人が存在することは確かです。こうした無用なトラブル(誤解)を避けるために、自前で端末を買わざるを得ないこともあります。

 ただ、世の中には物事を曲解する人もいるようで、つい最近も非常にイヤな思いをしました。先日、NTTドコモが発売した「シグマリオンII」というハンドヘルドPCについて、非常に厳しい内容の記事を書きました。ボクは記事にも書いたように、こういうスタンスの製品は業界的に好ましくないと考えています。そこで、意を決して、記事を書いたわけですが、これがある掲示板で「自分で買って、動かなかったから、怒りバクハツで書いたんでしょ」といった内容の評価をされてしまったのです。その掲示板は以前から「なかなかいい掲示板だなぁ」と見ていたのですが、あまりにも稚拙な解釈で非常にガッカリしてしまいました。自分の一時的な感情や私利私欲で好き勝手に記事が書けるほど、この業界は甘くありません(まともな編集部なら断ります)。ちなみに、シグマリオンIIは取り上げるべき問題があることを知り、その問題を取り上げるためにわざわざ購入したもので、自分で買ってからプロテクトに気付き、記事を書いたわけではありません。

 話を戻しましょう。では、どうしてメーカーや事業者から常に最新端末を借りられないのでしょうか。国内の場合、DDIポケットを除き、基本的には事業者ブランドで端末が販売されています。そのため、最新端末を借りたいときは、まず事業者にお願いします。ところが、事業者にはいろいろなメディアから端末の貸出依頼が来ますから、なかなかすべてには対応できないようです。多くの事業者は複数台の貸出用端末を準備して、期間を決めて、順番にメディアなどに貸出をするわけです。

 ところが、ボクがケータイWatchで端末のレビューを書く場合、それなりの時間は使い込まないと、読者のみなさんに納得していただけるレベルの情報が得られません。たとえば、新機種が発売されたとき、レビューのために1週間の貸出をお願いすると、事業者側の貸出スケジュールに合わないため、結果的に「お貸し出しできません」と断られてしまうわけです。Webメディアは元々、速報性を求められますから、発売から時間が経ってしまうと、記事として取り上げにくいという面もあります。

 事業者から借りられないとなると、今度はメーカーに貸出の交渉をします。ところが、前述のように、国内では事業者のブランドで端末が販売されているため、メーカーは端末を事業者に供給している立場に過ぎません。そのため、メーカーとしては事業者を通り越して、端末を貸し出すことは難しいという背景があります。また、メーカーにはそれこそ「売るほど」端末があるわけですが、携帯電話として使うには「回線契約」をする必要があります。その結果、事業者側との関わりが出てきてしまい、メーカーとしては貸出用端末を準備しにくい状況になるようです。

 まあ、こんなところが自前で端末を買わざるを得ない理由というところでしょうか。ときどき、読者の方から「○○のレビューはまだやらないの?」なんていうメールをいただきますが、実は端末が借りられなかったり、買えなかったりすることもレビューができない理由だったりします(笑)。端末をゲットしたけど、原稿がなかなか仕上がらないといったこともありますが……。

 そんなわけで、我が家には使わなくなった白ロム端末(電話番号の入っていない端末)がゴロゴロしています。少しでも赤字を埋めるために、その内、どこかで処分するつもりですが、いくらにもならないんですよねぇ。もし、メーカーや事業者の方がご覧になっていたら、ぜひ状況を改善できるように、ご検討いただけないでしょうか。ボクの財布もそんなに余裕がありませんので……(笑)。


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