どんな28.8Kbpsモデムを選べばいいのか?
- 実績のある製品を選ぶ
安定した通信を行うためには、まずいい製品を選ぶことが大事です。しかし、どのモデムも外見は似たようなもので、なかなかその品質を見分けることができません。28.8Kbpsモデムは価格競争が激しく、かなりコストダウンが図られており、製品の質もさまざまです。外見はいずれも似たようなものですが、接続性についてはかなり差があります。
モデムの心臓部とも言えるモデムチップセットの市場において、世界最大のシェアを持つのがアメリカのRockwellです。国内で販売されているモデムのほとんどがこのチップセットを採用していますが、Rockwell社からはモデムチップセットだけでなく、標準的なFirmwareも提供されます。日本国内で販売されるモデムには、この標準的なFirmwareをそのまま採用したものが多く、一部のメーカーをのぞいてセットを自社でFirmwareを開発しているところはありません。どのモデムも似たような接続性しか得られないのは、Rockwell標準のFirmwareをそのまま採用しているからなのです。
では、どのメーカーがFirmwareの自社開発をしているのでしょうか。代表的なところでは、アイワ(PV-AF288だけ?)、サン電子、Midori-Hayes(コントローラーチップにRockwell以外を採用)などが挙げられます。やはり、通信機器を長く手がけてきた実績のあるメーカーはできるだけ自社で開発しようと努力しているようです(例外もありますが……)。その他のメーカーはどうしているかというと、ほとんどの場合は台湾メーカーからOEM供給を受け、Firmwareなどはまったくタッチしていないのが現状です。すべての製品に当てはまるわけではありませんが、モデムについては「安かろう、悪かろう」がある程度当てはまってしまうのが現状です。
- サポートのいい製品を選ぶ
モデムでトラブルに見舞われることなんて早々あるものではありませんが、メーカーのサポート体制は大事です。
たとえば、28.8Kbpsモデムでは、より高い接続性を得るため、Firmwareをバージョンアップすることがあります。マイクロ総合研究所、サン電子などが過去に行なった実績があり、確実に接続性は高められています。その他のにもFirmwareをバージョンアップしているメーカーもありますが、公式にアナウンスしているところはそれほど多くありません。Firmwareをバージョンアップするときは、ROM交換ならメーカーに宅配便で送り、出来次第、送り返してもらう(約1週間)ことになります。フラッシュメモリを搭載したモデムなら、各社のWWWサーバーやパソコン通信サービス、サポートBBSなどからソフトウェアを入手し、自分のパソコンからバージョンアップすることになります。
また、うまく接続できないときにアドバイスを求め、答えてくれるメーカーとまったく返事のないメーカーがあります。なかには、「28.8Kbpsモデムで2400bpsのアクセスポイントにうまく接続できない」と言ったところ、「ウチのモデムは超高速だから、そんな遅いアクセスポイントなんて関係ない。遅いモデムで接続してくれ」という信じられない返答をよこすメーカーもあります。
- マニュアルの出来もチェックする
28.8Kbpsモデムに限った話ではありませんが、ユーザーが製品を使うとき、最初に頼りになるのがマニュアルです。ところが、一部の28.8Kbpsモデムに添付されたマニュアルには必要な情報が書いてなかったり、難解な技術用語ばかりでわかりにくいといったことがあります。なかには日本向けに販売しているのに、英語マニュアルしか添付していない製品もあります。
雑誌の情報を参考にしたり、ユーザーから見せてもらうなどして、事前にそのモデムのマニュアルをチェックしておいた方がいいでしょう。
28.8Kbpsモデムをどう使うか?
- 利用環境を考える
28.8Kbpsモデムを買ってきたら、パソコンとつないで設置します。ごく普通のユーザーが家庭で使う場合、電話回線がいくつもあるわけではないので、電話機やFAXを含め、どのように接続するのか悩むでしょう。
28.8Kbpsモデムを電話回線に接続するとき、原則としてモジュラージャックから直接つないだ方が安定します。となると、モデムのTEL端子に電話機やFAXを接続するしかないのですが、面倒なことに一部のメーカーの製品はTEL端子に何かを接続すると、一気に接続性が落ちてしまうものがあります。よくモデムや電話機、FAXを数珠つなぎにする人がいますが、モデムに悪影響を及ぼすことは必至です。
そこで、1つの電話回線に複数の端末機器が接続できるモジュラータップやアダプターを介して接続するのですが、今度はこのタップのおかげで、信号が弱くなってしまい、接続性が落ちることがあります。こうなると、もうお手上げなのですが、幸いソニーから高速モデム対応テレホンアクセサリが発売されたので、試してみる価値はあるかもしれません。
- ケーブルは短く
モデムを設置するとき、もうひとつ忘れてはならないのがケーブル類の取り回しと長さです。モジュラーケーブルを長くすると、ノイズが乗ったり、信号が弱くなってしまうことがあり、安定した通信ができません。モデムをオンフックしたときにラジオの音が聞えたりしたら要注意です。長くても2〜3メートルくらいにしておきましょう。
1Fに電話回線のローゼットがあり、2Fの自分の部屋までズルズルとモジュラーケーブルを伸ばしている人がいますが、これもやめた方がいいでしょう。また、ケーブルはACアダプタなどと絡み合わないよう、ノイズ源を避けて配線することも忘れないでください。
ところで、最近のモデムには必ずモジュラーケーブルが添付されていますが、これがまた質の悪いものが多く、ノイズが乗る原因にもなることもあります。高級なケーブルでなければならないということはありませんが、市販の並みの品質のものを使いましょう。また、モジュラーケーブルにフェライトコアを巻くと、改善されることもあります。
- 設定はシンプルに
ほとんどのモデムはアメリカのHayesが開発したATコマンドによって設定をします。ユーザーは自分の利用環境に応じて設定内容を変更しますが、ここにも落し穴が待っています。
ATコマンドは意外にわかりやすいため、モデムに慣れてくるとATコマンドであれこれと設定するようになります。ところが、逆に余計な設定までしてしまい、うまく接続できなくなることがあります。現在、国内で販売されているモデムの多くは、工場出荷値の状態で、ある程度の接続性が確保されています。設定を直すことで接続性が改善されることはごく希です。もし、設定内容に迷ったら、一度、AT&Fで工場出荷値に戻し、シンプルな設定状態から発信してみることをお勧めします。
- Windows95の人は?
'95年末に登場したWindows95環境では、モデムやTAなどを統括的に管理するTelephony APIというものが提供されています。Windows95環境では利用するモデムをコントロールパネルで登録しなければなりません。Windows95のパッケージには数百種類のモデムのINFファイルが含まれていますが、このリストにないときは、メーカーが供給するINFファイルが必要になります。INFファイルは各社のWWWサーバー上やNIFTY-Serveのフォーラムなどでも提供されているのでチェックしてみましょう。メーカーに問い合わせてみるのもひとつの手です。ちなみに、各社のWWWサーバーのURLは、通信関連サイトへのリンク(国内メーカー編、海外メーカー編)を参考にしてください。
メーカーでもINFファイルを供給していない(本来、こういう製品は買うべきではないのですが……)ときは、Windows95で提供されている「標準的な28.8Kbpsモデム」を選びます。ただし、この設定は汎用性を考えて作られているので、思うように動作しないこともあります。
- 接続最高速度を制限する
「セットアップが終わり、ホストにも接続できるようになったけど、今ひとつ安定しない」「回線がすぐ切れてしまう」といった症状のときは、発信側のモデムで接続速度を制限する手もあります。
たとえば、Rockwellのモデムチップセットを搭載したモデムなら、ほとんどの機種にAT+MSというコマンドが用意されています。このコマンドは接続するときの最低速度、最高速度、通信規格などを指定することができるもので、最高通信速度を24000bpsまでにすると、リトレインが少なくなり、安定した通信ができる製品もあります。
なお、設定方法などの詳しい点については、各モデムに添付されたマニュアルを参照してください。
- 送出レベルはどうする?
V.34モデムは通信を開始したとき、その回線品質に応じて、送出レベルをコントロールする機能を持っています。しかし、国内では-15dBが基本となっているため、一部の28.8Kbpsモデムではこの機能が省略されています。
そこで、ユーザー側で予め送出レベルを高く設定しておき、信号のロスを補うことができるのですが、基本的にこの作業には工事担任者の資格が必要になります。実際の設定にはATコマンドを使うので、接続先ごとに送出レベルを変えるといったこともできます。ただし、あまり高くしすぎると、うまく接続できなかったり、NTTからクレームがつくことがあるので、注意が必要です。
送出レベルの変更はあくまでも奥の手です。国内で販売されている28.8Kbpsモデムには、標準設定のままでも十分安定した通信が行なえるものがあることを忘れないでください。
- どうしても回線品質が悪いときは?
建築物や家屋の都合で、どうしても回線品質が改善されないときはどうするか。この際、あきらめてISDNに乗換えてしまいましょう。ISDNなら回線品質もグッとよくなるし、同時に2回線分のキャパシティが得られます。詳しいことはできるISDN 2nd Editionを参考にしてください。
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